【マスターのおすすめレゲエ名盤 Vol.8】Peter Tosh『Legalize It』|ウェイラーズを離れた男の反骨のデビュー作

マスターのおすすめレゲエ名盤 Vol.8

Peter Tosh『Legalize It』~ジャケットも音も、規格外の反骨デビュー~

こんばんは。BAR UNITYのマスターです。Vol.8は、ピーター・トッシュの1976年ソロデビュー作『Legalize It』です。トッシュのソロ作品から一枚だけ選べと言われたら、僕は迷わずこれを選びます。

まずジャケットがぶっ飛んでます。1975年、ジャマイカのウェストモアランドで撮影されたこの写真、トッシュが大麻畑にどっしり座り込んで、でっかいパイプをふかしているんです。撮影はレー・ジャフィ。タイトルそのままの主張を、これ以上ないくらいストレートに写真一枚で叩きつけてくる。当時としては相当攻めたビジュアルだったはずです。

何年経っても、このジャケットを見るたびに痺れます。堂々と、恐れずに、自分の主張をそのまま体現してしまう格好良さ。レゲエというジャンルそのものの反骨精神を、これほど一枚の写真で語ってしまうアーティストは、そう多くないと思います。

ボブ・マーリーと同じくウェイラーズ出身で、ソロになってからは特に社会的なテーマを真正面から歌う人でした。タイトル曲は当時のジャマイカで放送禁止になったほどの曲です。1976年6月にリリースされたこのアルバムは、トッシュにとって初のソロ作品。12年間ウェイラーズの一員として活動してきた彼が、ボブ・マーリーの影から抜け出して自分自身の音楽を打ち出した、記念すべき一枚でもあります。

ジャケットの格好良さに負けないくらい、中身も尖りまくってます。メッセージはとにかくストレートで、その分だけ音も骨太。ウェイラーズ時代とはまた違う、トッシュらしい硬派な一枚です。

今日のおすすめは「Legalize It」|Peter Toshの聴きどころ

Peter Tosh Legalize It アルバムジャケット

タイトル曲は、もう聴いた瞬間にトッシュの主張がはっきり伝わってくる曲です。当時の状況を考えると、かなり勇気がいる発言だったと思います。この曲は、トッシュがジャマイカの警察から受けていた不当な扱いへの抗議として書かれたと言われていて、単なる嗜好品の話ではなく、医療用途としての正当性も訴える内容になっています。

賛否あるテーマですが、音楽的な骨太さと堂々とした歌いっぷりは、テーマを抜きにしても純粋にかっこいいです。もう一曲挙げるなら「Why Must I Cry」。実はこの曲、ボブ・マーリーとの共作なんです。理不尽な現実と戦い続けることへの疲れや葛藤を歌った、トッシュにしては珍しく内省的な一曲で、アルバムの中でも特に評価の高いバラードです。

「Ketchy Shuby」のようなお茶目な曲もあれば、政治的なメッセージソングもある。1枚の中に色々な表情のトッシュが詰まっているのが、このアルバムの面白いところです。ちなみにアルバムの中には「No Sympathy」という曲も収録されているんですが、これはウェイラーズ時代、1970年の『Soul Rebels』ですでに一度発表していた曲のセルフカバー。ウェイラーズを離れても、自分が作った音楽への誇りを持ち続けていたことが伝わってくる選曲だと思います。

ウェイラーズ卒業生、それぞれの道

ボブ・マーリー、ピーター・トッシュ、バニー・ウェイラー。同じウェイラーズから出てきた3人が、それぞれ全く違う音楽性でソロになっていくのも、レゲエを聴く楽しみのひとつだと思います。トッシュはギターだけでなくキーボードもこなすマルチプレイヤーで、この作品でも自ら鍵盤を弾いている曲があります。あの強烈なジャケットも含めて、トッシュの生き様そのものを表す一枚だと僕は思っています。実はこの1976年、バニー・ウェイラーも『Blackheart Man』というソロデビュー作を同じ年にリリースしていて、奇しくもウェイラーズの主要メンバー3人が、それぞれ別の道を歩み始めた重要な年でもあったんです。

演奏陣も豪華で、ロビー・シェイクスピアやアストン・バレットといったベースの名手、後にトッシュのバックバンドの中心となるスライ・ダンバーのドラムなど、ジャマイカ屈指のミュージシャンが集結しています。ソロになってからも、こうした信頼できる仲間たちに支えられていたことが、このアルバムの完成度の高さにつながっているんだと思います。

興味深いのは、バックコーラスにリタ・マーリー、ジュディ・モワット、バニー・ウェイラーという豪華な顔ぶれが参加していること。ウェイラーズを離れたとはいえ、かつての仲間たちが変わらず彼を支えていたことが伝わってくるエピソードです。

BAR UNITYで音楽を楽しみませんか?

今夜も硬派なレゲエをカウンターで。トッシュの話でも盛り上がりましょう。僕自身、レゲエというジャンルの「懐の深さ」を教えてくれたのがトッシュでした。ボブ・マーリーのような優しさとはまた違う、まっすぐで骨太なメッセージ。同じウェイラーズ出身でも、こんなに個性が違うんだと驚かされます。トッシュは後にグラミー賞も受賞するなど国際的な評価も高めていきますが、その音楽的なルーツは間違いなくこの『Legalize It』にあります。彼の生き様そのものを表すような、まっすぐで嘘のない一枚だと思います。

タイトル曲はジャマイカ国内で放送禁止となりましたが、それが逆に話題を呼び、国際的な注目を集めるきっかけになったという、皮肉な逸話も残っています。トッシュは本名ウィンストン・ヒューバート・マッキントッシュ、1944年10月19日にジャマイカのグレンジ・ヒルで生まれました。

このアルバムの翌年には、南アフリカやローデシアでの人種差別問題を扱った『Equal Rights』を発表し、その後はローリング・ストーンズのレーベルと契約。ミック・ジャガーとの共演で「(You Gotta Walk And) Don’t Look Back」をヒットさせるなど、レゲエを超えたロックシーンにも活躍の場を広げていきました。すべての始まりが、この『Legalize It』だったんです。

この曲、BAR UNITYで流しています

『Legalize It』は、BAR UNITYの店内でも流れることがある一枚です。硬派なルーツレゲエの世界を、ぜひ栄町のカウンターで体感しに来てください。

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Good music. Good drinks. Good vibes.

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